全てを愛して
[谷中さん??大丈夫ですか??]
谷「あっ・・ごめんごめん、大丈夫。じゃあお邪魔させてもらうね。場所とか決まってるの??心愛ちゃんも迎えに行こうか??」
[いえどこかはまだ、猛さんに聞いてみて下さい。私は直接行くので大丈夫です。]
谷「ちょっと待ってね、猛さん、どこ行くか決めているんですか??」
猛「んー、そうだなー。今日は中華な気分だけど。」
谷「中華??」
[中華良いですね。そうしましょう。]
谷「心愛ちゃんが中華良いですねって言ってますよ。」
猛「じゃあ決まり。お前らも中華でいいよな??」
「「オッケー」」
谷「中華ならあの個室があるところが良いですね。予約しておきます。」
猛「頼むな。」
谷「心愛ちゃん、お店決まったけど少し駅から離れてるし迎えに行くよ。」
[いえ、大丈夫ですから。どこのお店ですか??]
彼女は、いつも必ず迎えを断る。
送ることも断る。
もちろん、いろいろ警戒した方が良いのだが、彼女はそういう意味で断っているのじゃない。
自分なんかの為に動かなくて良い、そうポツリと呟いたことがあった。
甘えるのが苦手なのかなんなのかはわからないが、少し・・・少しだけ寂しい気持ちになる。
[了解しました。少しだけ遅れるかもしれませんので、先にお店に入っていて下さいね。]
谷「伝えておくよ。」
[お願いします。それでは失礼します。]
谷「後でね・・・・・・・はい、スマホ・・・何でしょうか??」
振り向くと、俊樹さんと幸也さんが自分を見てニヤニヤしていた。
俊「何、お前いつもに比べて対応が随分柔らかいじゃん。」
幸「本当、俺らの女になんてニコリともしないのに。」
谷「貴女方が本気でその女性とお付き合いされるつもりならそれなりの対応をとりますが、一夜の女に愛想を振り撒くほど私は女好きではありません。」
俊「お前本当厳しいわ。」
この業界に入り嫌なほど見てきた。
醜い女の戦いや、陰湿なイジメ。
女なんてものはろくなものじゃない。
未だにそう思って自分自身も独身を貫いている。
谷「さぁ行きますよ。」
そんな女ばかり見てきたからこそ、心愛ちゃんの存在が澄んで見えるのだ。