全てを愛して
今日は猛さんと食事に行く日
出逢って3ヶ月が経ち、ようやく彼がどんな人なのかわかってきた。
優しくて、包容力があって、仕事に手抜きは一切しない。
かと言って気難しい性格ではなく、おおらかで、男気もある。
毎日のようにLINEや電話をしていて、もはや日課みたいになってる。
でも、それを拒否しようとは思わない。
自分の中で、芽生えてはいけない気持ちが芽吹いている。
相手も同じ気持ち。
でも、それに応える程の勇気もなく、不誠実な返事しかできない。
私では彼には相応しくない。
そう思っているのに、相手を待たせている。
待たないでほしい、待ってほしい。
両方が交差して飛び交う。
過去を引き摺り、しがらみだらけで前に進めない女より、華やかで、強い女性が似合う。
わかってるのに・・・
元彼との約束を果たして、彼のところに行けるかどうかも定かじゃないくせに・・
私は本当に自分勝手だ。
--------
少し遅れてお店に着いた。
名前を言うと、個室に案内された。
「失礼します、遅れてすいませんでした。」
猛「お疲れ、大丈夫だよ。俺らも今着いたから。」
ふと前を向くと、テレビで見慣れた二人もいた。
「初めまして、結城心愛と申します。よろしくお願いします。」
頭を下げると、二人は固まったまま私を見ていた。
あれ、どっか私変なのかなと自分の格好を見たりしていたら
「「可愛い・・・」」
え??
俊「ちょっ・・予想以上でヤバイ・・・」
幸「・・・本当・・・」
「??えっと・・・」
やっぱり変??
谷「心愛ちゃん、大丈夫だからこっち座って??」
谷中さんに促され、猛さんの隣に座った。
猛「チッ・・だから嫌だったんだよ・・・」
「私何か変?」
猛「変じゃないよ??今日も可愛い。仕事だったんだろ??日勤だけだったんだな。」
「うん、いい加減にしろって言われて夜勤外されちゃった。」
猛「・・・前に寝たのはいつ??昨日おやすみなさいって電話切ってからどうしたの??」
「いやー・・・ははは。あっ、まだ何も頼んでなかったんですね。すいませんお待たせしちゃって・・・何飲まれますか??」
俊「俺ビール!!」
幸「俺もー!!」
谷「俺は烏龍茶。」
「了解です。すいません、ビール2つ、烏龍茶1つ、ハイボール2つ。」
俊「あれ、猛、ハイボール飲むなんて言った??」
猛「言ってねーよ??」
俊「お前何飲むんだよ。」
猛「ハイボールだけど??」
幸「??」
猛「俺心愛が飲みたいものと同じの飲むって決めてるから。」
俊「なんっだそれ。」
猛「うるせーな、同じの飲みたいんだから良いだろ別に。」
「・・何食べようかなー・・・谷中さん何か食べたいのありますか??」
谷「そうだなー・・・」
猛「あっ、心愛の好きなエビチリあるよ。」
「食べましょう。お二人は何が良いですか??」
俊「俺回鍋肉食べたい。あと海鮮焼きそばとー・・・八宝菜もいいな。」
幸「俺唐揚げとー、肉団子とー、酢豚とー。」
谷「青椒肉絲もいいな。」
「すいませーん。エビチリと回鍋肉、海鮮焼きそば、八宝菜、唐揚げ、肉団子、酢豚、青椒肉絲、炒飯、麻婆豆腐下さい。」
俊「えっ、全部食べれるかな・・・」
谷「食べれると思いますよ。心愛ちゃん凄く食べますから。」
猛「あっ、麻婆豆腐は??」
「ちゃんと頼んだよ??好きだもんね??」
猛「うん、ありがと。」