全てを愛して
④
季節は春。
コンサートを二週間前に控え、今日は仕事と称して事務所に心愛を呼び、俺達3人はプライベートを満喫していた。
「俊ちゃん、幸ちゃん、お土産~。」
俊「サンキュー。どこ行ってたんだよ??」
「日帰りで広島でございます。」
幸「日帰り!?きっつ!!」
「お客さんがどうしても現場を見てほしいって言うからねー・・・仕方なくだよ。その日の夜には別の仕事入ってたし本当ギリギリだった。」
猛「全く、体調優れないのに無茶ばっかして・・・」
頭を撫でてやると、大人しくすり寄ってきた。
可愛い・・・
「あっ、そうだこれは谷中さんに渡しといてくれる??」
紙袋を受け取り、中身を見るとお菓子のようだった。
「広島名物みたいなんだけど、頼まれたの。」
俊「わかった、渡しとくな。」
「ありがと。」
心愛は随分慣れたようで、知らない間に二人とも飯に行くまでになったらしい。
良いことだな。
「そうだ、ちょっと3人に話しとかないといけないことがあって・・・」
少し言い出しにくそうな表情をしていた。
猛「ん??」
俊「どうしたんだよ。困ったことでもあったか??」
幸「何でもどんと話してごらん??」
「ん・・・実はさ、幼馴染み達に3人と仲良くしてるのバレちゃったかもしれなくて・・・・」
猛「幼馴染みって前言ってた7歳上の??」
「うん。」
俊「バレちゃまずいの??マスコミ関連??」
「ううん、マスコミは大丈夫なんだけど・・・なんていうか・・・ね・・・」
猛「そいや、前にかかってきた時叫んでたよなー。ちょっと過剰な愛を感じたわ。」
「そうだね・・悪い人達じゃないんだけど。」
幸「でも何でバレちゃったの??」
「昨日ね・・・」
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次の日に備えて仕事を早く切り上げ、寄り道もしないで帰宅した。
玄関の扉を開くと見慣れた靴が二足あり、2、3日来てなかった幼馴染みが来ているんだと気付いた。
「ただいまー。」
「「おかえり。」」
テレビも付けないで、二人は仕事着のままソファーに座っていた。
「え、着替えもしてないじゃん。どうしたの??」
いつもなら、どちらかが食事の用意をして、どちらかが掃除をしている。
凌「うん、ちょっと話があんだけど・・・」
「仕事の話??」
凌「プライベート。」
「なに??」
凌「お前・・・THREEDAYSの3人とどういう関係だ??」
「!!・・・どうして・・・」
凌「一昨日、お前が早く帰った日・・・・最近コソコソしてっからあとつけた。」
「あとつけたって・・・」
瞬「最近コソコソしてるからな、お前に彼氏ができたのかと思ってどんなやつか気になったんだ・・・で、迎えに来た男見て驚いたんだ。THREEDAYSのマネージャーの谷中さんだった。」
凌「最初谷中さんが彼氏かと思ったけど、もしかしたらそっちじゃなくてメンバーなんじゃないかと思って・・・・」
「ハァー・・・ねぇ、二人ともストーカーなの??勘弁してよね・・」
凌「お前・・・芸能人とは仕事以外で知り合いにならないようにしてたよな・・・俺らも芸能人とのプライベートな付き合いは絶対に反対だ。もうお前が傷付くところ見たくないからだよ・・・わかるよな??」
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「そこから必死に誤魔化したけど、誤魔化されてるかわからなくて・・・」