全てを愛して
それから対面式に座り、俺らは三人並び、反対に桐生くんが心愛を抱き抱えその隣で錦くんが心愛の髪の毛を弄っている。
さっきとうってかわって、二人はとても幸せそうな顔をしているが、心愛だけもの凄くひきつった顔をしていた。
真ん中に谷中を置いて、相手の出方をみる。
「ねぇ、離してくれない??暑苦しいんですけど。」
凌「暑苦しい!?お兄ちゃんショックで死んじゃうからやめてよ。」
キャラ変わってない??
さっきのシリアスな感じはどうしたんだよ。
瞬「あっ、心愛~枝毛があるよー・・・瞬兄が今日トリートメントしてあげるね。」
「いやいいから。」
心愛のこの冷たい対応も新鮮だ。
「・・・ハァー・・・」
谷「心愛ちゃん、」
谷中が呼び掛けると、二人が威嚇を始めた。
「こらっ・・・全く・・・この二人って仕事ちゃんとしてるの??お客様に対してこの態度はちょっと・・・」
猛「いやこんなの初めてだよ。仕事はそれはもうしっかりやってもらってるし・・・」
「ならいいけど・・・谷中さん、すいません・・・何でした??」
谷「えっと・・・幼馴染みさんで・・・話からして、一緒に住んでるの??」
「まさか、住んでませんよ。勝手に人の家の鍵を作って、不法侵入してくるんです。」
凌「不法侵入とは失礼な。生活能力0のお前に俺らが身の回りのことしてんだろうが。」
「それこそ失礼でしょ??私は炊事も洗濯も全部できる。」
凌「ふーん・・・」
「・・何??」
凌「今日お前の部屋の冷蔵庫開けたら、10秒チャージゼリーで埋め尽くされてたんですけど??」
「・・・見られたか・・・」
猛「ちょっと心愛・・・10秒チャージはごはんじゃないって言っただろ??」
「でもあれ美味しいよ??」
猛「いや味じゃなくてさ・・・」
瞬「それと棚開けたら、煙草のカートンが流れ出てきたんですけど・・・」
「・・・ハァー・・・人の部屋を勝手に漁らないでよ・・・」
凌「何言ってんだよ。お前が自分を大事にしないからだろーが。お前はほかっといたら睡眠もとらねー、飯も食わねーで酒ばっか飲みやがって、ちょっとは自分のこと考えねーと、この前みたいにぶっ倒れてからじゃ遅いんだぞ??」
瞬「お前がまた倒れたら、おじさんとおばさんに顔向けできねーだろ??お前のこと大事に・・」
「・・・やめて・・瞬兄・・・パパとママの話はしないで。」
心愛が泣きそうな顔をして下を向いた。
瞬「・・ごめん。」
凌「・・・瞬が謝ることじゃねー。本当のことだ・・・私生活に関して、いろいろ目を瞑ってきたけど、今回のは駄目だぞ。お前この人達が誰だかわかってんだよな??友達って雰囲気じゃなかった・・・誰と付き合ってんだよ。」
「誰とも付き合ってない。この3人は、私とごはんに行ったりしてくれてるだけなの。凌ちゃんに怒られるようなことはない。」
凌「・・・本当だろうな・・・」
猛「・・・心愛・・・」
泣きそうな心愛に、思わず声をかけてしまった。
「・・・猛さん・・・大丈夫だから・・・ちょっとお手洗い行ってくるね。」
心愛が外に出ていき、心配になり俺も行こうとしたが
凌「桜木さん・・・まさかあなたが心愛と付き合ってるんですか??」
猛「・・・いや付き合ってないけど・・・」
俊「でも両想いなのは事実だよな。」
猛「ん・・・まぁな・・・でも付き合うとかはまだだ。」
瞬「それは何故ですか??本気じゃないとか??」
猛「いや・・・本気だよ。結構前に・・・告白したんだけど、待ってほしいって言われてる。今のままの関係で暫くいかせてほしいって。」
幸「何で??心愛はお前のこと好きだって誰が見てもわかるよ??」
猛「まぁ・・・心愛にも事情があるんだよ。焦ることもない、関係が変わるわけじゃねーから・・・」
凌「・・・あいつがそう言ったんですか??」
猛「うん。」
瞬「まだ・・・進めてないんだな・・」
凌「あぁ・・・」