全てを愛して
「「失礼します。」」
凌「お待たせして・・・申し訳ありませんでした。」
桐生くんが俺の目の前に通ったとき、微かに心愛の香りがした。
ガシッ
凌「!!なん・・ですか??」
猛「ご・・ごめん・・・心愛の香りがして・・・」
俊「はぁ??お前犬かよ。」
猛「・・・錦くん・・・」
凌「心愛・・・・・少し体調を崩してるみたいで・・・ここに来る少し前に話したんです。その時に・・・移ったんですかね。」
猛「体調・・悪いのか・・・」
凌「俺らもあいつに仕事以外では会ってないから気付かなかったんです・・・っていうか、家まで行っても居留守とかじゃなくていつもいなくて・・・」
猛「いないって・・・どうして??」
凌「どこにいるのかはわかりません・・・話しかけても、仕事中は仕事の話以外許してくれないし・・・あいつ仕事とプライベートの分け方がキッパリしてるんです。」
瞬「顔色も悪いし・・・また倒れなきゃ良いんですけどね・・・」
俊「ついてあげなくても良かったの??」
凌「・・・・後から行きますから・・・それよりも仕事の話を・・・・少し相談なんですけど・・・」
俊「何??」
凌「以前お話頂いてた舞台会場の件ですが、演出の監督さんがですね・・・」
幸「監督??・・・・佐伯のこと??」
凌「えぇ・・・実は佐伯さん心愛とは飲み友達でして。」
俊「はっ!!???あの・・・無口で何考えてんのかわかんねーおっさんが・・と・・・友達!?」
幸「しかもすっげー怖いし!!俺何回も怒られたんですけど・・・ここ乗るんじゃねーって言ってんだろがって・・・俺主役だよ??ありえねーよあのおっさん・・・」
猛「その佐伯さんがどうしたの??」
俺もあのおっさん苦手なんだよなー・・・
凌「佐伯さんが、次のコンサートのうちの頭は心愛でと指名をしてまして・・・」
瞬「俺らでは話にならないって言われてしまって・・・」
幸「何で??」
凌「いやー・・・何が気に入らないのかわからないから困ってて・・・」
猛「心愛はなんて??」
凌「まだ話してなくて・・・」
ピリリリリ
凌「心愛だ・・・しかも仕事用・・・まずいな・・・少しすいません。」
猛「・・・ねぇ・・・声聞きたいからスピーカーにしてくれない??・・・俺は喋らないからさ・・・」
凌「・・・わかりました。」