全てを愛して

心愛が声をかけると、男達が心愛の前に1列に並んだ

「まだ時間あるのに、早いね。」

「主任より先に来るのは常識です。」

「そうですよ、俺らは主任の補佐なんですから。」

「助かる。えっと・・・じゃあ悪いけど、この図面を桐生と錦のチームにも渡しといてくれる??」

「了解です。」

「あと、トラックの正確な到着時間しりたいなー。」

「すぐに。」

「この書類をPCで打ち込んで社に送っといてくれるかな??」

「了解しました。」

「すぐ朝礼出来るようにチーム分けの列にしといてもらってもいい??」

「承知しました。」



四人の男が散らばり、一人銀縁の男が残った。
その男は心愛の後ろを歩き、四人でこちらに向かってきた。

いつもの柔らかい雰囲気は皆無だ。
尖っているような、張り付いたような笑顔に、少し戸惑った。

佐「おぉ、心愛!!」

「佐伯さん、ご無沙汰しております。」

佐「本当久し振りだなー。」

「この度はうちの錦と桐生が大変ご迷惑をおかけ致しまして、申し訳ございませんでした。」

そう言うと、四人が頭を下げた。

佐「おぉ、錦、桐生・・・心愛に絞られたか??」

凌「えぇ、だいぶ。」

佐「だろうな。そうだ心愛、こいつら今日の主役だ。テレビで見たことあるだろ??」

心愛と目があい

「・・初めまして、私TAF施工部主任の結城心愛と申します。いつも錦と桐生が大変お世話になっております。」

そう名刺を3枚差し出した。

俊「初めまして。」

二人は普通に受けとり、俺に手渡す時、然り気無く指を当ててきて少しドキリとした。

佐「心愛、今日少し違う現場にも顔を出さなきゃならんのだ。任せれるか??」

「「「!!」」」

このおっさんが他人に仕事を任せる?!
いつもならありえねー話だ

「お任せ下さい。こちらで仕切らせて頂きます。」

佐「何をそんな驚いた顔をしておる。この子はワシの一番弟子みたいなもんだからな、しかも仕事に関しては文句の付け所がない。任せて大丈夫だ。」

「精一杯やらせて頂きますので。黒崎、あれを。」

銀縁眼鏡男は黒崎と言うのか。

男、黒崎は、心愛に言われ紙袋を渡した。

「佐伯さん、こちらお詫びの品です。」

佐「何だ??・・・・・・これは!!幻の焼酎じゃないか!!」

「以前お話させていただいた時にお探しだと伺いましたので。」

佐「いいのか!?」

「勿論です。今後とも、桐生と錦を宜しくお願いいたします。」

佐「おぉ!!宜しくな。じゃあワシは行くからな。」

佐伯が去っていき

凌「ハァー・・・心愛、サンキューな。」

黒「錦リーダー。今はプライベートではありませんので、そのように主任に気安く名前で呼ばないで下さい。」

凌「あぁ!?」

黒「主任は我がチームの頭です。錦リーダーや桐生リーダーと違って、仕事を中途半端で投げるようなことはしません。」

瞬「厳しいなー。」

凌「誰が中途半端なんだよ!!俺はちゃんとやってんだろーが!!」

黒「ではなぜ今回主任はここに呼ばれたのですか??いったい何の謝罪なのでしょうか??」

「黒崎、そこまでにしようか。今回は少し手違いがあって、あちらにご迷惑をかけたから謝罪しただけよ??二人はちゃんとやってるから、あんまり苛めないであげて??」

黒「主任がそう仰るなら。」

「もう少しで朝礼始めるから少し休んでな??」

黒「わかりました。」

黒崎がステージの方へ向かった

凌「あいつ本当腹立つやつだな。」

幸「いやー・・・心愛上司なんだね。」

「クスクス・・そうだよー??変だった??」

あ、いつもの心愛だ・・・

猛「変じゃない。でもこっちの心愛のが好きだよ。」

「・・ありがと。」

俊「イチャイチャしてんじゃねーよ。」

猛「してねーよ!!」

幸「あの黒崎君だっけ??心愛の部下なの??」

「うん。」

瞬「1番の崇拝者だよ。」

凌「あいつは崇拝者ってより、コイツに恋しちゃってると思うけどな。」

猛「・・まじ??]
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