女を思い出す時
「私はもう こうやって真美と
暮らせることに感謝しかないのよ。
まささんのおかげでこうやって母親ができたり
ばぁばになれたし・・・・
だからママさんにも感謝よ。」

「感謝って・・・・・
のんママ いつもそう言うけど
それって何か違う気がするんだよね。」

錬を恒彦に抱かせて真美が私の手をとった。

「私が言うのは変だけど
パパが大好き パパがパパで本当に幸せ
だけど……パパが旦那さんだったら
嫌いだわ 大嫌い。」

「え?」

「ずっと何か 違和感。
私が大人になってきて ツネを好きになってから
いつもこの日を申し訳なく思うようになった。
のんママにだよ。」

「私に?」

まさかの真美の告白に驚いた。

「最低でしょ。
今の奥さんの前で 前の奥さんを未練がましく
想って ビデオ見せたり こんな用意させたり。」

「ううん。そんな事ないよ。」

「あるから!!」

「まささんにとっては
一生忘れられない人なんだよ ママさんは。」

「でも失礼すぎる。
死んだ人を想いすぎる。
私が言うのもおかしいけど。」

「ありがとう。私のことを
想ってくれたんでしょう。
それだけでも何だか嬉しいわ。」

「のんママ ごめんね。」

「何言ってるのよ。」

「この前も言ったけど
私たちと暮らして 幸せだった?」

「はい。とても今も幸せだよ。」

「ありがとう・・・・・。
ダメなパパを許してくれて。」

「そんな事ないよ。」

真美の優しさが嬉しかった。
でも わかるんだよね 夫の気持ちが・・・・・

私が翔を忘れられない気持ちと同じ
そこには 誰も踏み込めない。

きっと 私がその想いを何となく理解できるから
この日を 普通にやり過ごせてきたんだと思う。

私にも 踏み込んでもらいたくないくらい
忘れられない人がいるから・・・・・・。



今 あなたは何をしていますか?
幸せに暮らしていますか?
私のこと たまには思い出してくれてますか?

「ばぁば だっこ。」

錬が 小さな手を広げて立っていた。

「錬・・・。」
抱き上げて抱きしめて涙が出そうになった。

「錬は絶対 好きな人と
離れちゃダメだからね。」

小さい耳につぶやいた。
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