女を思い出す時
「私たち 別にいらなくない?」
そう思うほど くるみと博人は楽しそうに
勝手に行動している。

「ほんとだね。
でも俺 遊園地って初めてなんだ。
恥ずかしいけど。」

「え?私もだよ!!」

「よかった~
俺くらいかなって思ってたからさ。」

「うちは親が仕事忙しくてそれに
勉強勉強って・・・あ!!聞きたい事あったの。」

思い出した。

「翔くんって塾とか行ってるの?
めっちゃ成績いいから。」

「塾?行ったことない。」

「うっそ~~~!!」
思わず大きい声を出した。

「俺さ 学校から許可もらって
働くくらい家 貧乏なんだよね。」

驚く私を見て 恥ずかしそうに笑った。

「新聞配達してるんだ。
朝晩 だから部活できないし塾もなし。」

なんて答えていいのかわからなかった。

「こっちには 引越してきたばっかなんだけど
今の販売所の社長さんいい人で
このまま頑張ってたら 大学も奨学金で行けるって。」

私は文句言ってても 親がお金を出して
塾だの 英語だの ピアノだの
贅沢しながら 暮らしてる。

「えらいね。」

「働かないと かあさんと妹もいるし。
だからちゃんと勉強して奨学金の世話になって
大学行って ちゃんと就職して・・・・・
こんな家に育ったら それしか生きる楽しみない。」

「だから前髪も切ってたの?」

「そうそう 床屋とかももったいない。
そう思ってると 髪の毛伸びちゃってさ。
前髪 自分で切って助けてもらったんだ。」

だから感謝って言ったんだね。

「また 切ってあげるよ。
私 けっこううまいと思うの。
親が美容関係の仕事してるから遺伝かな。
勉強しておくわ。」

「マジで?助かるな~。」

なんかけっこう話 盛り上がってるよね。
楽しくてたまらない。

くるみたちが 戻ってきた。

「乗り物のらないの?」

翔と顔を合わせた。

「そうだ 全然のってなかった。」

せっかく来たのに 貴重な遊園地!!
その時 翔が私の手を引っ張った。

「急がないと 全部乗るぞ!!」

「え?全部?」

「俺は最初で最後かもしんないから。」

それからずっと 私たちは手をつないで歩いた。
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