女を思い出す時
私と翔は あの事件以来
久しぶりに 再会した。

博人の家族が 留守という事で
翔が待つ博人の家へ 向かった。

博人が出てきて

「大丈夫か?」
そう言って辛そうに私を見た。

「ありがとう 翔を支えてくれて・・・・
今日も本当にありがとう。」

「うん 俺は学校行くから 翔と話して。
家族は戻らないから安心して。」

そう言うとくるみの肩を抱いて歩き始めた。

「のんちゃん 頑張ってね。」

くるみが振り向いて手を振った。

「ありがとう。」

二人には本当に感謝しかなかった。
あの頃も そして今も 私の大切な親友・・・・。

深呼吸して玄関を開けると 翔が立っていた。

「紀香・・・・・。」
そう言うと翔は いきなり土下座した。
額を床にこすりつけて

「ごめん 本当にごめんなさい。」
何度も何度もそして泣き声に変わっていった。

「翔・・・・私こそごめんなさい。」

翔の肩に触れて その体を起こした。

「なんで 紀香が謝るの?」

翔の顔は 涙でぐちゃぐちゃになっていた。

「私が軽率だったの。
翔を苦しめてごめんなさい。」

私もその顔を見たら 涙が止まらなくなった。

二人で泣きながら抱きしめ合った。

「ごめん。」

「ごめんなさい。」

そう言いながら抱きしめる力で
折れそうになるくらい。


そして涙だらけの唇を合わせた。

「翔・・・・私 汚れちゃったけど
私のこと 好きでいてくれる?」

怖い質問だった。

翔は私を軽々と抱き上げて 博人のベッドに
転がした。

「あたりまえだ。
俺が 紀香を 紀香のすべてを消毒する。
いい?」

その言葉は 私の頬を赤くさせた。

「可愛い ずっとずっとこうしたかった。」

私の人生で一番幸せだった。
今でも 翔の唇や 舌で ぎこちないけど
愛されたあの瞬間を思い出すと 胸が熱くなる。
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