女を思い出す時
赤ちゃんを失って希望も失った。

厳格な親からは 傷ものだと罵られる。
きっと私を会社を大きくするために
どこかの金持ちと結婚させたかったんだろう。

兄もそうしてどこかの
お嬢様と結婚させられていた。

いつか翔と会った時
私が子供を産めなくなってて
そしたら家族を欲しがっていた翔は
私をどう思うんだろう。

翔にも 受け入れられないのかもしれない。

いや きっとこの事を知ったら
翔は絶対に傷つくに違いない。

全部俺のせいだって
また 悲しませてしまうかもしれない。


私は もう翔を苦しませたくない。
翔が殺人を犯したのは 
母親や妹のためだったかもしれない

だけどその中に間違いなく私が
あの男に乱暴されたあの事件も
翔の人生を変えてしまった原因になったはず。


翔はあれから数年後刑期を終えた。
だけど私はもう会いに行く事をやめた。

合せる顔がなかった。
もうこれ以上苦しめるのはやめよう。

子供が産めなくなった事で
翔に責任を感じさせて一緒にいないとっていう
そんな風に思われたくなかった。

翔には幸せになってもらいたかった。
翔なら絶対に幸せになれるもの
受け入れてくれる女の人が現れて
念願の家族を作ることだってできるはず。

私は同じこの空の下で 翔の幸せを
願って生きて行く。


そう決意してからは 翔を思い出に変えた。
そして一人で生きていくって。

私に期待をかけなくなった親は
とりあえず行けと短大にはいかせてくれた。

卒業したらもう
親とはきっと疎遠になるだろう。

就職して
たくさんの挫折や嫌がらせの中で
心がどんどん尖っていく。

「女のくせに。」

「生意気な女。」

仕事をやろうとするとことごとく
可愛げがないと 嫌がらせや陰口を言われた。

あの時代はまだ 男社会
クソな男が 蔓延っていた。

時には 言い寄られて怖い思いもした。

そんな時 転勤してきた夫が
直属の上司になったんだった。

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