女を思い出す時
「錬 帰るよ~」
真美が大きな声を出した。

「え?もう帰っちゃうの?
ご飯食べて行きなよ。まささんも珍しく
家にいるんだもん。」

真美の表情が一瞬曇ったように見えた。

「や うん
また来るよ。今度は連絡して
ゆっくり来るから~やり残しがあるのよ。」

「そう。じゃあ錬と少しだけ
イチャイチャさせてね。」

錬を迎えに行くと 夫が錬を抱いて歩いてきた。

私の顔を見るとさっそく手を出した。

「おいで~~今日錬に会えると
おもってなかったからラッキ~!!」

愛おしい孫を夫から受け取って
ぞんぶんにに香りを楽しむ。

真美の存在も錬の存在も
私にとってはもうなくてならない存在だ。

「可愛い錬は ホントに可愛い。」

「のんママ すごいばばバカだよ。」

真美が苦笑してる。

「ね まささん
錬は本当にイケメンだよね?」

夫の同意を得るのに 顔を見ると
いつもとは違っていた。

「ん?どうかした?」

「あ!!いや!!ちょっと
考え事してたよ。」
いつもの笑顔に 戻って錬の頭を撫ぜる。

「錬は モテるぞ。」

「ほんとにね。」

真美が錬を抱き上げた。

「じゃ また来るね。」

名残惜しかったけど 錬の小さな手を握って

「また来てね。」と言った。


錬は笑顔で バイバ~イと手を振って
振り向かない真美と外へ消えて行った。

「なんか今日 真美おかしくなかった?
恒くんと喧嘩でもしたのかな。」

しばらくして夫が

「真美も 強情だからな。」
そう言って 部屋に戻っていった。


その時私は 違和感しか感じなかったけど
夫と真美の中で 
何かがあったという事は 後で知る事になる。

あの保育園からのお迎えから始まった
夫と真美との楽しい時間。

毎朝 夫から渡される
たどたどしい文字での 手紙と
三人の絵・・・・・・・


「迷惑じゃないかい?
すっかり 気に入っちゃってさ。
おねえちゃん おねえちゃんって。」
申し訳なさそうに 夫が言った。

「いいえ 真美ちゃんといると
楽しいです。」

「次の日曜日 都合いいかい?」

「動物園ですね?いいですよ約束してますから。
先にお宅に伺っていいですか?」

真美をはさんで夫との距離も縮まってくる。
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