女を思い出す時
美容室の鏡の中で 出来上がった私

「すごい お似合いですよ。
やっぱり 紀香さんにはゴージャスな感じが
似合うと思ってたけど いつも仕事柄簡単に
髪の毛まとめられるのって注文されるから・・・・。」

いつもの美容師に

「イメチェンしたい。
少しは年相応でいいから女っぽく。
難しい注文かな?」

そう無理難問を投げかけた。

「私こんな髪の毛短くしたの初めてだけど
パーマかけたら なんかマダムみたいね。」

おかしくて笑った。

「紀香さん マダムですから。
これからは ブローしてくださいね。
洗いっぱなしでも ウェーブがあるから
ヘアークリームでまた違うスタイルもできますし。」

「きっといつも洗いっぱなしに
なっちゃうかもだけどね。」

気持ちいいくらい ガッツリ切った。
肩につくくらいの髪は レイヤーが入ってて
綺麗に流れるようなブロー

「こんなヘアースタイル
ずっと昔 流行ってたよね。」

「レトロな感じだけどすごい良いですよ。」


確かに いつもただ後ろに留めてるだけだったから
一気に顔が華やかになった。

「こんな日は誰かに会いたいな。」

「素敵なご主人を誘ってディナーなんてどうですか?」

「主人ね・・・・。」

そう言えば 私はそんな事したこともなかった。

「そうか 誘ってみるかな。」

自転車を飛ばして家に戻って
少しお洒落をして メイクを濃い目にする。


「ほんとに マダム紀香だ。」

生活感に溢れていた朝とは違う私がいる。
このできを見せるのは 夫しかいない。

残念だけど・・・・・。

買い物がてら街に出て 夫にラインした。


『街に出てきてます。
今夜夕食 食べませんか。』

夫は驚くだろう。
何が起きたんだろうって・・・・・・。


翔に会えるならどんなに楽しいだろう。


『珍しいね。店予約しておくから 七時に。』

夫からしばらくして返信があった。

これが現実なんだ。
私がお洒落をしても見てもらうのは
夫以外いないんだよね。

夫がいるから こうやって贅沢ができるし
この生活はもうやめられないそれが現実。
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