女を思い出す時
夫は疲れたと見えていつもの時間に
起きてこなかった。

流石に昨日の私の乱れ様
どんな顔して夫の前に行けばいいのか。

昨日の行為は夫の体を借りた
翔だとしても。

多分あんな私を夫は見たことがないだろう。


「まささん 遅刻しちゃうよ。」


「あ‥‥何時?
ヤバイ 今日大事な会議あるんだった。」

だるそうに体を起こして全裸の自分に
驚いてる様子


「紀香のベッドで寝ちゃったのか。
疲れ取れなかったろ?」

「ううん 大丈夫よ。」


目を合わすのを躊躇ってしまった。


「食事の用意してるから。」


「うん 軽くシャワーしていく。」


なんとなくギクシャクしてる。

私が乱れて 夫が燃えた
そんな事は初めてだった。


夫はどう思っただろう。
私が若い愛人に嫉妬して頑張ったって思ってるかな。


いや愛人の存在を知ってるなんて
思ってもいないから。


私も夫と同じだ。
夫の体を借りた翔に抱かれて興奮したくらいにして。


不意に後ろから夫に抱かれた。


「え?どうしたの?」

「昨日の紀香が凄くてさ
なんかあんな紀香初めてで頑張っちゃったよ。」


「そうだった?そんな事ないよ。」

いつもやる気なさそうなの
わかっちゃったか。

「なんか嬉しかったな。」

「そんな‥‥。」

男って大変だわ。


「ほら 遅刻しちゃうよ。」


「ヤバイ じゃいってくる。」


いつもの様に玄関まで見送った。


「そうだ 今夜は真美が来るから
早めに帰ってきてね。」


「そうだった。」


「明日からゴルフでしょう?」


夫は微笑んで
「いってきます。」


そう言って玄関のドアを開けた。


逃げたなぁ


夫の慌ててる姿を見ながら
私はここにいていいのかなって


居場所が居場所でなくなる様な
そんな気がした。


ベットのシーツを剥がして洗濯機に
放り込んだ。


夫は翔じゃないのに‥‥‥。
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