女を思い出す時
真美を通して
いつのまにか私たちの間にできた対価

真美の母親になる私への夫からの対価

居場所を与えてもらった私から
夫への対価

ここには愛はない。


だから夫がいつまでも
元妻を愛してる事も

若い愛人を隠れて作っても
私には嫉妬する資格などない。


反対に私が
翔を忘れられない事も

再会した翔に心が揺らいでいても

きっと夫には関係ない事だろう。


ただ ただ
お互い世間からの手前この生活をしてるだけ。

もし夫が若い愛人を
妻にしたい

そう言ってきた時は私は
ここにいる資格もなくなるって事だ。


でも昨日の夜は
今までの義務の夫婦生活ではなかった。


いつものように 元妻の遺影に
手を合わせる。


「おはようございます。」

美しい遺影を真っすぐに
真っ白な気持ちで 今朝は見られない。


裏切ってしまったような・・・・・


違う
あなたの夫を愛したんじゃない
だからごめんなさい・・・・・・。


夫の体を借りて
他の男に抱かれたから・・・・・・


お花の水を取り替えて
また手を合わせていたたまれず離れる。


「今日は 真美が来るんだわ。
錬にも会えるし 切り替え・・・切り替え!!」


鏡の前に立った。


忘れていた女を思い出した顔・・・・・



翔に再会して 私は
封印していた女を思い出した。


「翔を・・・・
翔に抱かれたい・・・・・・。」


涙が溢れだす。


「翔・・・・・・。」


私は泣き崩れた。


「翔が好き・・・・・・
翔じゃなきゃダメなの・・・・・」


でも 翔には私じゃない
他の女性がいる。


綺麗な人 優しそうな人・・・・・


私は女を封印しすぎて
とてもあの女性には 及ばない。


情けなくて・・・・たまらない・・・・・。









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