女を思い出す時
翔に会えない週末は温泉旅行

恒彦のワンボックスカーに
真美家族と一緒に道中を共にする。


支度をしてると夫が近づいてきた。

「やっぱり 二人で行きたかったな。」

「え?どうしたの?」

夫が後ろから私を抱きしめた。

「いや 二人の方が楽しめたなって。」

私の耳にキスをする夫を
鏡越しの私は 自分でも驚く程

女の顔をしていた。

「最近 どうした?って
聞いてもいいかな。」

夫が鏡越しから私を見ている。

「え?どうしたって?」
とぼける。

「今までの紀香じゃない
違う紀香がいるみたいなんだけど。」

そうだろうな。
夫を自分から求めたのは初めてだし

そして最近の私は メス化してる。

「そう?」

楽しい・・・・・・
あなたの若い愛人と比べられると
厳しいけど・・・・・


「そう言えば二人で温泉とかも
行った事なかったし・・・・・・
今回は誘ってしまったから 次から夫婦水入らずで
旅行へ行こう。」

甘い囁きから夫の息が荒くなってきた。

そんな夫を冷めた目で見ている私と
オスを求めてる私がいる。

「まささんの ゴルフ旅行忙しいから。」

少しは釘を刺しておこう。

「これから冬だし 雪見温泉だな。
部屋に露天風呂あるところとってさ・・・・。」

今の言葉に一瞬 たじろいた夫の
胸中を想像したらおかしかった。


「紀香・・・・まだ時間あるよ。」

夫は私のパジャマをたくしあげる。

「出かける前に 疲れちゃうよ。」

夫は今まで 
家政婦で仮面の妻で たまに抱くくらいの
私に 今は夢中になっている。


おもしろい・・・・・。


夫にされるがまま 目を閉じる。


「紀香・・・・紀香・・・・」
私を抱きながら
夫は私の名前を呼んだ。

そんな事今までにない。

今まで 私は死んだ妻の代わりだった。

死人のように冷めた私の体を借りて
夫は愛した妻を抱いていた。


でも今は 私は夫の体を借りて
翔に抱かれている。


頭の中で 体の中で 私は
翔の名前を呼び続けて 昇り詰めていく。
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