女を思い出す時
「なんかいい感じね~」

真美が振り向いた私と夫にスマホを向ける。

笑顔で
夫が私を抱き寄せる。

「ふぅ~~ん。」
真美の言葉が印象的だった。

二人の写真にはいつも壁があったけど
多分夫もそれに気づいている。

濃厚な夜を過ごす度に夫は
私に触れようとしている。


男って簡単な生き物だ。
あれだけあった壁が 受け入れ方を
変えただけでこんなにあっさりと のめりこんでくる。


「のんママ なんかさ綺麗になったね。」

「そう?」

真美が私をのぞき込む。

「恒も言ってた。
のんママがなんか綺麗になったって。」

「きゃ~うれしい~~」

大げさに喜んでみる。

「パパと幸せなら安心なんだけど。」

「うん大丈夫よ。」

真美も大人になったなって思う。

「私の大切な二人だからずっとずっと
一緒に私のこと見守っていて欲しい。」


真美は何かに気づいてる。

多分夫に愛人がいる事・・・・・。

「パパのこと よろしくね。」


その言葉に私は言葉を返せなかった。

それを隠すために真美の髪の毛についた
枯葉をとった。

「なんかついてた?」

「枯葉が髪の毛についてた。」

「さっき錬とかけごっこしてたからだわ。」


ごめん 真美。

真美はきっと私と夫の何かが変わって
幸せそうに見えて安心してるのかもしれない。

真美が与えてくれた 私の居場所


ここから出て行くことはできないし
そんな勇気もない

だから夫が元妻を愛していても
他に愛人ができても何も言わない。

言えない・・・・・・。


でもそれは夫を男として愛してないから

人間として上司として
真美の父親として尊敬してるけど

男じゃない。

だけど 男としての体を借りて
翔を思い浮かべ抱かれれば

夫は私を女として意識するようになる。

私が女になればなるほど
今まで平和に装っていた生活が
転がり落ちるように変わり始めてきた。


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