甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「だけど、そんな偉そうなこと言ってる僕も最初はデザインするってことがなんたる
かなんてちっともわかってなかった。最近だよ、デザイナーの仕事が机上だけではできないっていうことに気づいたのも」
ふぅーと長く息を吐くと、間宮さんはゆっくりと話し始めた。
***********
T大学の建築デザイン科を首席で卒業した彼は、当時はとても自信に満ち溢れていた。
父の会社ではなく自分のデザイン会社を持ちたいともくろむほどに。
でも、実際仕事に就いたものの、自分がやりたかった建築デザインの仕事はなかなかまわしてもらえず、誰かの補佐的な仕事ばかりをしていた。
不甲斐ない状況に苛立ち、父に詰め寄るも「今のお前にはまだ仕事を受ける力量はない」と一喝される。
見かねた当時の常務がこっそり新築一軒家のリビングダイニングのデザインを彼に任した。
これで認めてもらえたら仕事がもっと入ってくるかもしれないと、毎晩徹夜で製作するも常務だけでなく父である社長にも一瞬で却下される。
納得のいかない彼は社長に尋ねた。
「このデザインのどこに不備があるんですか?全て最新の設備を備え付け、光が全面から入るよう明るく居心地のいい空間をデザインしましたが?」
社長はふんと鼻で笑い言った。
「お前はこの家に住む人間のことを考えたか?」
「確か四人家族でうち子供一人、祖母一人......」
かなんてちっともわかってなかった。最近だよ、デザイナーの仕事が机上だけではできないっていうことに気づいたのも」
ふぅーと長く息を吐くと、間宮さんはゆっくりと話し始めた。
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T大学の建築デザイン科を首席で卒業した彼は、当時はとても自信に満ち溢れていた。
父の会社ではなく自分のデザイン会社を持ちたいともくろむほどに。
でも、実際仕事に就いたものの、自分がやりたかった建築デザインの仕事はなかなかまわしてもらえず、誰かの補佐的な仕事ばかりをしていた。
不甲斐ない状況に苛立ち、父に詰め寄るも「今のお前にはまだ仕事を受ける力量はない」と一喝される。
見かねた当時の常務がこっそり新築一軒家のリビングダイニングのデザインを彼に任した。
これで認めてもらえたら仕事がもっと入ってくるかもしれないと、毎晩徹夜で製作するも常務だけでなく父である社長にも一瞬で却下される。
納得のいかない彼は社長に尋ねた。
「このデザインのどこに不備があるんですか?全て最新の設備を備え付け、光が全面から入るよう明るく居心地のいい空間をデザインしましたが?」
社長はふんと鼻で笑い言った。
「お前はこの家に住む人間のことを考えたか?」
「確か四人家族でうち子供一人、祖母一人......」