身ごもり政略結婚
彼は吐いたから涙目になっていると思ったのだろう。
「そんなにつらいのか」と私を抱き上げてベッドに向かった。
「無理するな」
「はい」
ネクタイを緩めた彼はベッドに座り、私の頬にそっと触れる。
それがあまりにも優しくて、弱音を吐きそうになってグッとこらえた。
「あれからなにか食べた?」
「いえ、なにも……」
朝のトマト以降は水だけで過ごした。
あまりどころかまったくだったが、心配をかけたくない一心で濁す。
すると大雅さんは一旦部屋を出ていき、大きな紙袋を持ってきた。
「果物買ってきたぞ。なにがいいか迷ったけど、水分が多いのがいいって言ってたから、オレンジとマスカットと、あとはメロン。エール・ダンジュに卸している青果店のものだから、味は保証する。食べられそうになったら言って」
「すみません」
大きなマスクメロンまであってびっくり。
エール・ダンジュが使うような果物なら、贈答用に買うことはあっても、自分では食べられないような立派なものだ。