身ごもり政略結婚
こんなに気を使ってもらえているのに、夕飯すら作れない。
政略結婚ではあれど、妻として精いっぱい彼に尽くしたいと思っていたのに、思い描いていた夫婦生活とは程遠い。
「どうした? つらい?」
自分のふがいなさに悶々として唇を噛みしめると、彼は顔をのぞきこんでくる。
「いえ。大丈夫です。夕飯、まだ途中で……」
本当は持て余すほどの気持ちの浮き沈みと、どうしようもない不安を聞いてもらいたいのに、話すことができない。
多くの人が乗り越えるつわりに負けそうな自分が情けなくて。
しかも、弱音を遠慮なく吐けるほど大雅さんとの関係が深くない。
「いいよ。適当に食べる。もう明日から心配しなくていいから。結衣も食べられるならデリバリーにするし、外で食べてきてもいい」
『お願い、早く帰ってきて。ひとりじゃ余計に気分が沈むの』
心の中でそう叫んだものの、口には出せなかった。
「はい」