身ごもり政略結婚

「オレンジ、食える? それともメロンがいい?」
「オレンジをいただきます」


少しなら食べられそうだ。
しかも果物なら喉を通る気がする。

返事をすると、彼は「切ってくる」と部屋を出ていこうとする。


「自分でやりますから……」
「いいから」


家事もできない上に私の世話までさせて申し訳ない。

沈んだ気持ちで待っていると、縦に四等分されたオレンジを皿にのせて戻ってきた。


「包丁で皮をむくのは無理だった……」
「十分です。ありがとうございます」


受け取ろうとしたのに、彼は切り口から指を入れて皮をむいてくれる。


「食べさせたほうがいい?」
「い、いえっ!」


とんでもないことまで言われて焦り、大きな声を出して首を横に振る。

昼間は気持ちがふさいでいることも多く、夕方に向けてどんどん体調も悪化していくのに、彼が帰ってきてからは胃のムカつきも少し治まっている。
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