身ごもり政略結婚

でも今は、そんなふうには思えない。


「そういえば、親父に子供ができたことを報告したんだ。そうしたら会議前だったのにその場で家に電話をかけて。お袋も大喜びしてるみたいだった」

「よかった……」


そもそも孫を切望されていたので喜ばないわけがないけれど、ホッとした。


「家に来いって言うから、つわりがひどくて無理だと言ったんだけど、お袋が結衣と電話で話したいと言っているらしい。体調がいいときに頼める?」

「もちろんです。今でも、大丈夫です」


それなら早いほうがいいと承諾すると、彼は「悪いな」と言って電話をかけ始めた。


「もしもし、大雅です。少しだけなら結衣が電話できるというので。でも、少しだけにしてください」


大雅さんは私を気遣い、先に釘をさしてくれた。


「もしもし。ご無沙汰しております」
『結衣さん! 聞いたわよ。赤ちゃんできたんですって。よかったわね』
「ありがとうございます」
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