身ごもり政略結婚

「やっぱりお父さんは練り切りのほうが好きなのね」


父が言っているのは、千歳自慢のこし餡を、川の流れを表すような淡い水色で色付けした練り切りでひと巻きしたもの。
それに新緑を思わせる葉の練り切りを二枚散らした。

昔からあるようなデザインを好む父は、やはりこれが気に入ったらしい。


もうひとつ提案したのは、ぷるんとした触感が夏に人気の葛まんじゅう。

中は桃の果肉が入った桃餡を使い、ほんのりピンクに仕上げる。


「葛まんじゅうはどう? 中の餡は、他にもレモンとかオレンジとかもいいと思ってるの」


淡い黄色や橙色といった葛まんじゅうを並べて販売してもかわいらしいと思う。


『桃だのレモンだの……そんな餡は邪道だ』


そう言うと思った。


「でも新しいものに挑戦していかないと、お客さんはつかないよ。定番の練り切りはもちろん作るとして、やってみようよ。アルカンシエルからは子供も好みそうな和菓子も用意してほしいっていうリクエストが来てるんでしょ?」
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