身ごもり政略結婚
「どうしよう」
いつもとちょっと違う。
自分の体がどうなっているのかわからず不安で、お腹を押さえる。
「大丈夫だよね」
このところ無理をしていた自覚はある。
でも、激しい運動をしたわけでもないし、重いものを持ったわけでもない。
つわりがなければ当たり前にできるごく普通の生活をしようと頑張っただけ。
「お腹にいてよ」
妊娠しているというのに食べられないせいで、妊娠前より体も細くなっている。
たまらなく不安になって、家の中でも持ち歩くようにしているスマホをポケットから取り出した。
「大雅さん……」
大雅さんの電話番号を表示したものの、どうしても発信ボタンを押せない。
まともに妻としての役割を果たせていないというのに、仕事中まで迷惑をかけたくない。
私は迷いに迷って、麻井さんに電話をかけた。
『もしもし、麻井です。奥さま、どうかされましたか?』
小声なのは仕事中だからだろう。