身ごもり政略結婚

「不安……」


大雅さんが小声で繰り返したとき、ドキッとした。


「そうよ。ママは体型がどんどん変わっていく自分も受け入れなくちゃいけないし、ホルモンのバランスのせいで鬱っぽくなることもある。それに赤ちゃんが無事に産まれてくるか不安でたまらないものなの。パパがそれを理解して支えてあげてくださいね」

「はい」


大雅さんが神妙の面持ちで、しかし力強く返事をしてくれたので、それだけで張りつめていた気持ちが緩んでいくのを感じた。


それからちょうど空いていた産科の特別室に移ることになった。

個室の中でも豪華なその一室は、病院とは思えない。
トイレもシャワーも完備されている。

清潔感あふれるその部屋には、ベッドのほかに大きなソファもある。
このソファはベッドにもできるらしく、パパも泊まれる仕様だとか。

小さなベッドは産まれてきた赤ちゃんの居所になるのだろう。
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