身ごもり政略結婚
産科以外の病室とは異なり、床は無垢材を使ってあり温かみがある。
これは出産後、家にいる気分でくつろげるようにという配慮かららしい。
点滴につながれていなければ、ここが病院だと忘れてしまいそうだ。
ベッドに入ってしばらくすると、気分が悪くなればすぐに助けてもらえるという安心感のせいか、はたまた点滴のおかげか、頭のふらつきも吐き気も久しぶりに落ち着いた。
「腕がこんなに細くなって……。気づいてやれなくてごめん」
ベッドの横にイスを置いて座った大雅さんは、私の手を握る。
「いえ。大丈夫――」
「もう、お前の大丈夫は信じない」
私の言葉を遮った彼は、神妙の面持ちで首を振る。
最近は、夜はまったく食べ物が喉を通らず、「昼間に食べたから今はいい」と嘘をついたことすらあった。
どうしても彼に心配をかけたくなかったからだ。
「ごめんなさい。お仕事忙しかったですよね」
結局、こんなに迷惑をかけているのだから、私の判断は間違っていたのだろう。