身ごもり政略結婚
本当は『つらいよ。助けて』としがみついて泣きたい。
けれど、恋愛の末結ばれたわけでないからか、そんなふうに甘えることができないでいる。
甘え方がわからないのだ。
それに、エール・ダンジュはお義父さまが社長とはいえ、実際に中心となって会社を動かしているのは大雅さん。
今はアルカンシエルとの契約の件はもちろん、海外進出の計画などがあって踏ん張りどきだとか。
そんな彼を振り回せない。
「でも、なに? なんでも言って」
本当にいいの?
これ以上わがままを言ったら困るでしょ?
無意識にお腹に触れて口を閉ざす。
迷惑をかけたくない。
跡取りを産むことしかできない無能な妻だと思われたくない。
妻としての役割を果たせているとは言い難い今、そんな思いがあふれてくる。
そのとき、ドアをノックする音がして麻井さんが入ってきた。
ずっといてくれたんだ。