身ごもり政略結婚
「失格なんかじゃない。結衣の不安に気づいてやれない俺が、パパ失格だ」
思いがけず大雅さんの口から『パパ』という単語が飛び出して、目を瞠る。
「少し仕事をセーブする。もっと結衣のそばにいる」
ためらいもなくそう言った彼は、身を乗り出してきて私の額にキスを落した。
「ひとりで苦しんでいたんだな。ごめんな」
優しい言葉に瞳が潤んでくる。
勇気を出して言ってよかった。
この子が無事ならそれでいいんでしょ?なんて思ったことを後悔した。
大雅さんはすごく優しい人なのだ。
私との間に壁のようなものを感じていたのは、彼が意図的にそうしていたからのような気がする。
心を許してはいけないと思っていたんじゃないのかな。
あの女性と真剣に付き合っていたからこそ、裏切られたときのダメージが大きくて、誰も信じられなくなってしまったのだろうから。