身ごもり政略結婚
具体的な和菓子の名前まで出てきて、まったくの詐欺でもないのかもしれないと思い始めた。
ただ、エール・ダンジュはケーキを中心とした洋菓子ばかり。
和菓子を扱いたいというのは本当なのかな?
いやそれより、あんなに大きな会社がどうして家に興味を示すの?
混乱しながらも、父の笑顔が久しぶりに見られたことに安堵していた。
でも、信じていいの?
とりあえず食事の準備を進める私は、首をひねった。
千歳の定休日は水曜日。
私は久しぶりにスーツを着て、迎えにくるというエール・ダンジュの秘書をソワソワしながら待っていた。
アヤシイ話なら見極めて断らなければ。
そう思いながら二階の窓から見ていると、それらしき黒塗りの大きな車が停まったのが見えて外に出た。
この車、見たことがあるような……。
すぐに後部座席から眼鏡をかけた背の高い男性が降りてきて、私に深く一礼する。