身ごもり政略結婚
結婚したばかりの頃は淡々と毎日を過ごしているだけで、互いの心情に踏み込むような会話もなかった。
そんな大雅さんが私のことを気にかけてくれて、こんなに優しい。
彼は私の頬の涙をそっと拭ったあと、もう一度抱きしめる。
「結衣はもう妊娠に関する本を読むのはやめるんだ」
「どうして?」
「妊娠出産は個人差が大きい。本通りに進まないとダメなわけじゃない。結衣は、自分と違うところばかり気にして、ストレスになっているんだよ」
彼の言葉に頭を殴られた気がした。
たしかに、そうかも。
つわりのせいだとわかっているのに、体重が平均値通りに増えていかないことに焦りを感じているし、赤ちゃんに必要な栄養を気にしすぎるほど気にして、しかし食べられないので自分を責めている。
本にも〝これはあくまで目安です〟と書いてあるのを知っているのに、妊娠が初めての私は、その目安から外れることが怖くてたまらない。