身ごもり政略結婚
「でも……」
「その代わり俺が読む。おかしいと感じたら、俺が責任をもって病院に連れていく。本より俺を信じろ」
そんな。彼だって初めての経験なのに。
けれども、このひと言はすごく心強い。
ひとりで悶々と悩んでいたので、その悩みから解放された気さえする。
「結衣」
私がなにも言えないでいると、彼は柔らかな声色で私を呼び、髪を撫で始める。
「俺が一緒にいる。引き受けられるものは全部引き受ける」
あぁ、彼が旦那さまでよかった。
私……大雅さんのことを愛し始めている。
政略結婚と事務的に宣言され、身構えて嫁いできた。
最初は距離が縮まらず落胆することばかりだったが、彼は不器用なだけだと知った。
しかも、仕事が一番だったはずなのに、私とこの子のために必死になって変わろうとしてくれている。
そしてこれほどまでに優しく、不安定で決して普通の状態とは言えない私を丸ごと包み込む。