身ごもり政略結婚
下唇を食んでから離れた大雅さんは、私の唇を人差し指で撫でる。
その視線が艶っぽくて鼓動が速まっていく。
「結衣の唇は甘いな」
彼はそう囁くと、私の額に額をあわせた。
吐息がかかる距離に、頬が上気するのを感じる。
「ゆっくり眠って」
「……はい」
こんなに心臓が暴走しているのに眠れるだろうか……なんて考えたが、彼の腕の中が、そして与えられたキスの余韻が心地よすぎて、いつの間にか眠りに落ちていた。
翌朝は久しぶりにすっきりと目覚めた。
ご飯を炊くのがつらくてパンにしたものの、久々に朝食を用意できたのは自分でもびっくりだ。
大雅さんの言葉に安心して、気持ちが安定したせいかな。
「あぁ、うまいな」
ただのベーコンエッグを満面の笑みで食べ進める彼の姿に胸が熱くなる。
こんな手抜き料理で喜んでもらえるほど、私はボロボロだったのかもしれない。
私もパンをかじったが、そのあとは葛まんじゅうに手を伸ばした。