身ごもり政略結婚
「あのっ、私じゃダメですか?」
「え?」
「父ほどではないですけど、千歳の和菓子のことはひと通りわかっているつもりです」
大雅さんが千歳の和菓子について深く知っていることはわかっている。
だから、お任せすればいい気もするが、なにか役立てるならと思う。
「そりゃあ助かるけど、体調は?」
「長時間でなければ」
そう伝えると、彼はしばらくなにも言わずに考えている。
「絶対に無理しないと約束してくれる? つらくなったらすぐに退出して。麻井をそばにいさせるから、なんでも言って」
「はい」
私がうなずくと、彼は笑みを浮かべて私の頭をポンポン叩いた。
もうすぐ五カ月だというのに、つわりで痩せたせいでさほどお腹も目立たない。
私は以前から持っていた濃紺のワンピースをベルトなしで身に着けた。
「そっか……。やっぱ男は気が回らないな」
「なに、が?」
出かける前にそんなことを言い出すので首を傾げる。