身ごもり政略結婚

「新しい洋服買わないと。ずっと買ってないもんな。お腹が大きくなってからも着られる服とか、産後に着たい服でもいい」
「いえっ」


まさかそんな心配をされるとは。

何枚か通販でマタニティ用のワンピースを買ってそれを着まわしてはいるけれど、彼に気遣われるとは思ってもいなかった。


「元気になったら買いに行こう」


大雅さんはそう言いながら私の手を握り、そのまま一階のエントランスまで行った。

すると、エントランスの前にあの黒塗りの車が待ち構えていて、運転手と麻井さんがドアを開けて待っている。


「おはようございます」

「おはよう。今日は彼女も千歳の代表として同行する。麻井、頼んだ」

「かしこまりました。先ほど千歳さんからはさみ菊を預かったと営業から連絡が入りました」

「うん。それじゃあ行くか」


早く見たいな。


昨晩、できあがったはさみ菊の写真をメールで送ってほしいと父に頼んだ。

しかし春川さんが帰ったあとだったので、メールの送り方がわからないと言われて断念した。
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