身ごもり政略結婚

だからどんなふうにできあがっているのか気になりすぎてソワソワしている。


こうして外出するのは久しぶり。
その緊張と、プレゼンがうまくいくかどうか心配な気持ちもあり、ちょっと気分が悪い。


「結衣、大丈夫か?」
「はい」
「あと何分で着く?」


大雅さんは運転手に尋ねている。


「そうですね。この混み具合ですと十五分くらいでしょうか」
「結衣。いったん降りるか?」
「そんな。平気ですから行ってください」


まだ我慢できる。
しかも、一番大切なのはプレゼンなのだから、そっちを優先してほしい。


「……うん」


大雅さんは渋々うなずき、こっそり私の手を握った。

私は過保護な彼にびっくりだった。


ホテル・アルカンシエルは海が一望できる最高のロケーションに建っている。

まだ歴史が長いとは言い難いホテルだけれど、数年前に就任した若い社長が手腕を発揮して急成長を遂げており、最近では海外の要人が積極的に利用する高級ホテルだ。
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