身ごもり政略結婚

彼は私に向かって話すようにそのまま続ける。


「私自身が千歳の和菓子のファンでした。いつ訪れても新しいものに出会えます。しかも、新作一つひとつに熱い想いが込められていて、日本に生まれたことを感謝するような、そんな気持ちにすらなれます」


そう訴えた大雅さんは、ほんのわずかだが口角を上げた。

まるで私に微笑みかけてくれているかのようなその行動に、胸がいっぱいになる。

ずっと壁があるように感じていた彼だけど、私のことをきちんと評価してくれているのだ。

彼のそばにいられて幸せ。
ずっと一緒に生きていきたい。

結婚したばかりの頃には抱けなかった強い気持ちがあふれそうになる。


私はそっとお腹に手を当て、大雅さんのプレゼンを見守り続けた。


「本日は葛まんじゅうをご用意しました。こちらも新作で、アルカンシエルさまの目指される和洋折衷を取り入れたものです。餡は、桃とレモン、そしてオレンジになります。一般的な小豆の餡が苦手な方にもお勧めしたい商品です」
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