身ごもり政略結婚
その日、大雅さんが帰ってきたのはいつもより遅い二十時半。
私はあれから大幅に体調を崩し、寝込んでいた。
「結衣。ごめんな。やっぱり無理させたよな。千歳の高い評価を結衣にも見てもらいたいという気持ちもあったけど、連れていくんじゃなかった」
違うの。
大雅さんのプレゼンも千歳に対する高い評価も聞けて、とてもいい一日だった。
ただひとつ、赤池さんのことを除いて。
「いえ。とても充実した一日でした。久しぶりの外出だったので、ちょっと疲れただけです」
笑顔を作って言ったのに、彼は心配そうに顔をしかめた。
『あれから赤池さんとはなにもなかったの?』
そう聞きたいのに言葉が出てこない。
今日の帰りが遅くなったのは、別件の会議がおしたからだ。
連絡をもらってわかっていたのに、本当なの?とずっとモヤモヤしていた。
「そっか。なにも食べられない?」
「ごめんなさい」
「うん」
きっと、私が好きなものを買ってきてくれたのだろう。
でも、私は拒否した。