身ごもり政略結婚

でも、不安は消えない。


赤池さんから大雅さんに接触があったのは、五カ月検診を金曜に控えた火曜日の夜だった。


「須藤です。先日はお世話になりました」


テーブルに置いてあったスマホに赤池さんの名前が表示されたとき、顔が引きつった。

それでも素知らぬ顔をしていると、彼は話しながら廊下に出ていく。

個人の携帯番号まで知っている仲なの? 
仕事の話なら、麻井さんを通すのが普通じゃないの?

そんなことを考えながら、つい聞き耳を立ててしまう。


「はい。承知しました。明日の十九時ですね。楽しみにしております」


十九時? そんな遅い時間から彼女に会うの? 
麻井さんを通さないということは、ふたりきりで?


しかも『楽しみ』という言葉に過剰に反応してしまい、息が苦しくなる。

私は彼がリビングに戻ってきたのと入れ替えに、部屋を出た。


「結衣?」
「ごめんなさい。もう休みます」
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