身ごもり政略結婚

「つわりのせいだから平気」


検診は明日。
赤ちゃんに何事もないと祈りたい。

ただ、元気で育っていてくれれば……。

でもそれだけでは許されない。


「こめん。お父さんにはわからなくて」


険しい顔をする父に首を振りながら笑ってみせた。


「今日はどうした?」

「千歳どうかなって。あぁっ、そうだ。はさみ菊見たよ。すごかった。アルカンシエルの人たちも絶賛してたんだから」


そう伝えると、父の顔に喜びが広がる。


「うん。須藤くんからも連絡をもらってね。大盛況だったと聞いたよ。『これで契約を取れなかったら自分を責めてください』って言ってた」

「え……?」


もしかして、大雅さんはそういうプレッシャーがあって、赤池さんの誘いを断らなかったの?
父や春川さんの努力を無駄にしないようにと?


赤池さんの口ぶりでは、プレゼンなんて関係ない。私の胸先三寸です。という感じだったから。

だとしても、妻である私にしてみれば喜べることではない。
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