身ごもり政略結婚
「店は心配するな。須藤くんが結衣の復帰の目処が立たないからと、パートさんを追加で手配してくれたんだ。春川に店頭に立ってもらえばなんとかなるって言ったんだけど、それだと結衣がゆっくり休めないからって。パートさんの賃金も当面はエール・ダンジュが面倒みてくれる。本当にいい人と結婚したな」
そんな話は初耳だったので、顎が外れそうだ。
「私が休めないって……」
「そう。結衣は責任感が強いから、土井さんや春川に負担をかけることがつらくて気が休まらないだろうって。ここで立ち話もなんだし、家のほうに入れ」
「うん」
大雅さんの私を気遣った発言に、驚きを隠せない。
私は父に促されて、久しぶりに実家に足を踏み入れた。
一階の客間に入ると、父がお茶を淹れてくれた。
「仕事は?」
「春川がやってるよ。アイツ、千歳を畳まなくていいと決まって前より張り切るようになってね。腕前もぐんと上がった。あのはさみ菊も、ずっと練習してたんだ」
「そっか……」