身ごもり政略結婚
「結衣、なにかあったのか?」
私が顔を伏せたからだろうか。
父が声のトーンを下げて聞いてくる。
「……うん。明日ね、検診なの」
「おぉ、そうか。えーっと何カ月になる?」
「五カ月検診だよ。それで、そろそろ赤ちゃんの性別がわかるんだって」
私の発言を聞いた父が、途端に頬を緩める。
「そうか。もうわかるのか。どっちでもいいから元気で産まれておいで」
父が私のお腹にそう語りかけたとき、我慢できなくなって涙がこぼれた。
「どうしたんだ?」
「……お父さん。この子が男の子じゃなかったら、ここに帰ってきてもいい?」
「はっ?」
私……とんでもないことを口走ってしまった。
けれど、もうひとりでは抱えきれない。
大雅さんには私への愛はなく、この子が女の子なら須藤の家からも歓迎されない。
私は、もう須藤結衣として生きていく自信がない。
ただのお荷物だから。
「ごめん。なんでもない」