身ごもり政略結婚

慌てて頬の涙を拭って立ち上がろうとしたものの、父に止められた。


「……男の子じゃなかったらって、須藤くんにそんなことを言われているのか?」


険しい顔でそう尋ねられたが、なにも言えなかった。

大雅さんはそうは言わない。
言葉ではっきりとプレッシャーをかけてくるのはお義母さまだ。

でも、彼も内心ではそう思っているかもしれない。
そもそも跡継ぎが欲しくて結婚したのだし。


しかし、千歳の存続を条件に結婚に踏み切ったことはどうしても言えない。

そんなことがバレたら、きっと父は苦しむ。


結婚の申し入れは突然だったが、父は私たちが心を通わせた末結ばれたと信じているのだから。


「結衣、もう一杯お茶を淹れるから、飲んで落ち着きなさい。そうだ。葛まんじゅうは食べられたんだろ? 持ってくるから待ってて。……今日は泊まっていけ」


私が黙り込んでしまったので父は気を使ったのだろう。
複雑な顔をして出ていった。
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