身ごもり政略結婚

――ピンポーン、ピンホーン。


何度か玄関のチャイムが鳴っているのに気がついて目を開けると、もう外はうっすらと暗くなりかけていた。

出なければ……と思ったとき、「はい」という父の声がした。

もう閉店したのかな?


「結衣!」


玄関の引き戸が開いた音とともに、私の名を大きな声で呼ぶ声がする。


「大雅、さん?」


どうしてここにいるとわかったの?


「あっ……。取り乱しましてすみません」


父に挨拶をしているだろう大雅さんの声がはっきりと聞こえてきて、目を瞠る。


「よかった。飛んでこなかったら、結衣はもう返さないつもりでした」


お父さん、なにを言ってるの? 
もしかして、お父さんが連絡したの?


「それは困ります。結衣さんがどうして出ていったのか、私にはわからなくて……。どうか話をさせていただけませんか?」


どうしよう。今、大雅さんの顔を見たくない。


「須藤くん。私は結衣を君に嫁がせてよかったと、ついさっきまで思っていました。でも、お腹の子が男の子じゃなかったら、結衣はいらないんですか?」
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