身ごもり政略結婚
「……そんなわけありません。結衣さんがこんなに苦しんでお腹の子を守ってくれているのに、男の子でなければなんて考えたこともありません。元気で産まれてきてくれればそれで」
だって跡継ぎが欲しくて私と結婚したんでしょ?
「それじゃあどうして結衣は泣いているんだ?」
父は語気を強める。
「それは……。もしかしたら結婚のときに、跡取りが欲しいと言ってしまったからかもしれません。でも、いざ子供ができたと知ったら、そんなことどうでもよくなりました。結衣さんと私の子がこの世に誕生してくれるという喜びで、他のことなんてどうでも……」
本当、に?
私は出ていきたい衝動を抑えて、深呼吸した。
もう、なにが真実なのかわからない。
「それが本心なのか証明できますか? 結衣は私の大切な娘だ。エール・ダンジュとの契約が白紙になったとしても、結衣が泣くなら取り返します」
「お父さん……」