身ごもり政略結婚
「身勝手な俺に、結衣を愛する資格なんてないとずっと思ってた」
彼は苦しげに吐き出して、私の頭を抱えるようにして一層強く抱きしめる。
「でも、離したくない。結衣が俺のことを受け入れてくれるなら、一生結衣だけを愛すると誓う。もう絶対に泣かせない。この子と一緒に幸せにする」
彼のストレートな愛の告白が胸に突き刺さり、すがりつきたくなる。
けれど、もうひとつはっきりさせておかなくては。
「赤池さんとは……」
声が震えるのは、『抱いた』と聞くのが怖いから。
彼が私を愛してくれていたと知ったのに、そんな結末あんまりだ。
「赤池さん? そっか。電話が聞こえてたのか」
「はい」
彼はすぐに事情を呑み込んだらしい。
手の力を緩めて私から離れると、神妙の面持ちで話し始めた。
「アルカンシエルの最終決定会議が近々ある。迅速にことを進めなければならない局面もあるから、秘書を通さず直接俺につながる連絡先を教えてほしいと言われて、電話番号を教えた。そうしたら、会議の前にもう少し話を詰めておきたいと相談があって、会いに行った」