身ごもり政略結婚
仕事の話で呼び出しを受けたのか。
でも、そのあとは?
「麻井も同行させると話したのに、ひとりで来てほしいと……。しかも会社ではなくアルカンシエルとは別のホテルのラウンジを指定されたから、嫌な予感がした」
それじゃあ、単に仕事の話ではないことに勘づいていたということ?
ハッとして彼を見つめると、唇を噛みしめている。
「彼女とは仕事での関わりは長いけど、今までに何度か個人的に誘われたことがあったからね。でも、ずっと断ってたんだ。彼女もエール・ダンジュの専務と付き合いたいだけで、俺じゃなくてもいいように見えたから」
以前からアプローチされていたんだ。
「あの夜、彼女が私に採用権があると言ってきた。実は先代の社長が別の会社で働いていた彼女の仕事ぶりを認めて引き抜いたんだ。だから、それなりのポストも与えられているし、決裁権も持たされていてね」
仕事ができることには違いないんだ。
そんな雰囲気はたしかに感じた。