身ごもり政略結婚
ずっと心苦しく思っていることを口にすると、彼は優しく髪を撫でてくれる。
「家事ができないから罪悪感があるのか? そんなことはどうでもいいじゃないか。そもそも妻だけがやる仕事じゃない。結衣は十分すぎるほど俺の心の支えになっているよ」
「本当、ですか?」
悩みを一瞬で吹き飛ばすような言葉だったが、信じられない。
「朝、結衣の顔を見るだけで今日も頑張ろうと活力がみなぎる。麻井にも言われたよ。結婚してから生き生きしていると」
「麻井さんが……?」
「うん」とうなずく彼は続ける。
「それに、俺たちの子を育んでくれているんだぞ。それ以上なにを望むと言うんだ。結衣は最高の妻だ」
それを聞き、肩にずしんとのっていた重い荷物が軽くなっていくのを感じた。
私……料理も掃除もパーフェクトで、仕事で疲れた旦那さまを癒すような場所を作るという、〝妻たるものこうあるべき〟というような理想を勝手に作り上げていたのかもしれない。