身ごもり政略結婚

「はい。食べられる量は少ないですけど、もう吐くことはありません」

「よく頑張ったわね。えぇっと、赤ちゃんの性別はお聞きになります?」


ということはわかったんだ。


「いえ。産まれるまでワクワクしたいので、言わないでください」


すかさず口を挟んだのは大雅さん。
本当に聞かなくていいんだ。


「それもいいですね。そろそろ耳が聞こえているはずですよ。話しかけてあげてくださいね」
「耳が?」


私は思わず声を漏らした。
もう?


「そう。あと一、二週もすれば胎動も感じるかもしれません。うれしいわよね、そういうの」
「はい」


大きな声で返事をすると、大雅さんも頬を緩めた。



心の安定は、やはり体に直結しているようだ。

その日はすこぶる調子がよく、父に【順調だったよ】とメールを入れてから、大雅さんの実家に向かった。
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