身ごもり政略結婚

あの騒動のあと、父には電話で言葉が足りずすれ違っていたことを話し、もう一度ふたりでやっていくと伝えた。

すると、『よかったなぁ』と声を震わせていた。


妊娠してから何度も母が生きていれば相談できたのに、と思ったこともあったが、父は父で女親とは違った守り方をしてくれた。

私もこれからずっとこの子の味方でいよう。


「結衣。緊張してる?」
「ちょっと」


つわりのせいで足が遠ざかっていたのもあるし、性別についてあれこれ言われるのが怖い。

正直に答えると彼は私の手を握った。


「今日は、結衣のストレスのもとを解消しに来たんだ。俺に任せて」
「はい」


彼の実家はとんでもなく大きな洋館で、白金台のエール・ダンジュに雰囲気が似ている。
すごくおしゃれだ。


すぐにアンティーク調の家具が素敵な応接室に通されて、ふかふかのソファに並んで座った。


「結衣さん、細くなったわね。そんなに痩せて、赤ちゃんは大丈夫なの?」
< 228 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop