身ごもり政略結婚
彼は目を弓なりに細めて、さわらを口に運ぶ。
こんな平穏な日常が、政略結婚をした大雅さんとの間に生まれるとは思ってもいなかった。
彼に嫁いでよかったと感じるひとときだった。
大雅さんは思いをぶつけあったあの日から、私を抱きしめて眠る。
私は眠るまでのひと時、ベッドの中で会話をするのが楽しくてたまらない。
「俺、子供ができたと知ったときうれしくて、心の中でガッツポーズしてたけど、実はメチャクチャ緊張してガチガチだったんだ。俺が父親ってまずくないか?って」
「私も思いましたよ。赤ちゃんが来てくれたことはうれしかったのに、ママになれる自信がなくて不安でした」
あのとき、同じことを考えていたんだ。
不安なのは、私だけではなかった。
「結衣もか……。だから先生に『おめでとうございます』と言われたとき、すごく素っ気なかったと思う。ごめん」
そういえばそんな気もする。
病院では淡々としていたような。