身ごもり政略結婚

アルカンシエルのアポイントは十一時と聞いている。

掃除と洗濯を済ませたあとは、リビングをひとりで行ったり来たり。


「あっ……」


すると、お腹の中の赤ちゃんが微かに動いた気がして、目を瞠る。


「あはは。やっぱり心配症だったね。ありがとう」


『大丈夫だよ』って励ましてくれたのかな?

それからは嘘みたいに落ち着きを取り戻し、和菓子の新作を考えていた。


「誕生日とかクリスマスのケーキみたいに、和菓子もイベントに使ってもらえるといいなぁ」


大雅さんはアレルギー対応の洋菓子を開発していると言っていたが、和菓子も見た目をかわいらしく工夫すれば、食べ物に制限がある子供たちに喜んでもらえるかも。

そんなことを考えるのは、自分の子が産まれてくるからだろうな。


それからいくつかのイラストを描いていると、テーブルに置いてあったスマホが鳴り出して、大げさなほどに驚いた。
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